2012/11/18

富士山六合目まで(2012/11/18)

11月18日(日)に富士山御殿場コースの新六合目まで登ってきました。


この日は気圧配置的に風が厳しいだろうと
予想していたのですが、降雪直後なら雪質は
柔らかいかもしれないと思っていました。
厳冬期なら登るのを避ける気圧配置ですが、
まだ11月ということで気温も高めなので、 
ある程度雪が柔らかければ滑落のリスクは減るので、
風が強めでもそこそこ登れるかもしれないと思っていました。
しかし、現地の状況は予想の逆で、 
思っていたよりも風が弱かったのですが、
レインクラストにより雪がガチガチに硬くなっていて、
楽しめない状況でした。




御殿場駅から御殿場口五合目駐車場までタクシー利用。

まだ御殿場口五合目までは車が入れるので、
星の観察か夜景目的かはわかりませんが、
けっこうな数の車が来てました。


0:27に御殿場口五合目を出発

















大石茶屋あたりまではガスってました。


















何度かガスに包まれながら進みました。



中継小屋(2:03)


















前日は雪が降っていたはずなので、
雪の状況を見ながら登っていたのですが、
予想以上に硬い雪質なので、
標高2300m付近でアイゼンを装着しました。

積もりたてでフカフカの雪を期待していたのですが…

前日の雨がどのくらいの標高から
雪か雨に変わっていたのか分からないですが、
山頂における前日の気温変化の推移を見ると
かなりの高い標高まで雨混じりの雪が
降っていたのかもしれません。


この辺の標高では前日は
どうも雨の方が多かったような感じで、
溶けた雪が低い気温と風で冷やされて
硬く締まった雪が広範囲に広がって
レインクラストになっている感じがしました。

シリセードができるくらいの柔らかい雪を
期待していたのですが、
予想以上に硬い雪質が続くので
楽しくない状況でした。


新六合目の青い小屋(3:57)


















新六合目の青い小屋に4時くらいに着きました。
そこから先の斜面は更に雪が硬い感じで、
少し強い風が吹き降ろしてきて
雪煙も飛んでくる状態でした。
雪煙が飛んでくるということは、
上には雪が降った場所があるということですが、
それがどのくらいの標高からなのか、まだ暗くて見えません。
少なくとも、このしばらく上は
アイスバーンが続いているように見えました。

ゴーグルを着けて先へ少し登ってみたものの
予想以上に雪質が硬い…
夜間ということを差し引いても硬いと感じる雪質。
この標高、この気温でこんなにガリガリの雪質とは…
アイゼンの歯が立たないわけではないので、
登れないというほどではないにしても、
下山は緊張を強いられる硬さで、
迂闊にヒョイヒョイ登るのはリスクが高いと感じました。
この先で進退窮まったらマズイ…

日が昇り気温が上がれば少しは雪質も柔らかくなり、
明るくなれば先の状況も確認しやすくなって
攻略する糸口も見えてくるかもしれないですが、
日の出までまだ2時間以上もありました。
ここで2時間も停滞していたら体が冷えてしまう。
いろいろ状況を考えると、
今回は早めに出発したことが裏目に出ていました。
もっと遅い時間帯に出発していたなら
まだ攻略の糸口は見えたのかもしれませんが…

まだ11月で前日までの気温変化の推移を見て
これほど雪が硬くなっていると思っていなかったこともあり、
今回は柔らかめなソールの登山靴で来てしまいました。
おまけにヘルメットを持ってくるのも忘れてました。
予想ではシリセードができるくらいの
滑落リスクの少ないフカフカの雪質を想定していたのですが、
明らかに今日のこの先の状況に対して装備が不十分でした。
想定した見積もりが甘すぎました。
まあ、厳しい状況ならさっさと引き返すつもり
(日頃から)ではいましたが、
この時期にこんな標高で 
ここまでガチガチになっていることは
予想してなかったです…

柔らかいソールの登山靴とアイゼンでは、
ここまで硬い雪質はリスクが高いうえに、
この後に風がどれだけ強く吹いてくるかも判りません。
ガリガリのアイスバーン上で、
もし突風に吹かれたとしら危険すぎます。 
今日の気圧配置は強風というはずでした。
風が弱いままという保障はどこにもありません。
登るとなれば高い技術が要求されるし
気を抜けない状況が続きます。

試しにピックを雪面に刺しながら確認しましたが、
滑落したら初期制動で対応しないとヤバイという雰囲気が
斜面から伝わってきてました。


 
体調もイマイチなので下山することにしました。


山に対しては臆病でいいと思ってます。
自然に対して虚勢を張る意味が無いです。
カッコつける意味もないです。
もし、世間や他者の評価を気にして
山に登るようなら終しまいですね。
周りからの評価を気にするより、
自然と自分の状況を見極めなければ危険です。
当たり前のことですが…


登っていて楽しいと思える余裕が欲しい。
安全マージンを多めに設けて
リスクが高いと思ったら撤退。
自分の本能が嫌だと感じたら引き返す。
自己責任の世界です。

迷わず引き返す決断をしました。
冬富士は条件が良い時じゃないと登る気がしません。 
今回は自分が望むような条件ではありませんでした。


敗退でいいと思う。
そう易々とは登れないのが冬富士。
冬富士は難しい…



引き返す決断をして下山をしていると、
宝永沢を直登して何人かが登ってくるのが見えました。


さらに下山をしていると、
見覚えのあるお二人が登ってきました。
kenさん鴉さんでした。

富士山常連の鴉さんとkenさん(6:11)

















お二人ともいい笑顔で楽しそうです。
ここでちょっとお話し。

予想以上に雪が硬くなっていること、
新六合目付近ではガチガチということ、
自分は早く着きすぎて先の状況が見えなくて引き返したけど、
日が昇り気温が上がれば状況がマシになるかもしれないこと、
案外上の方では雪が積もって
雪が柔らかい場所も出てくるかもしれないこと、
新六合目より上では雪が柔らかい可能性もあるけど、
それがどれくらいの標高からなのか分からないこと、
等々お話しました。

お気をつけてと言葉を交わしましたが、
自分はここから下るだけなので危険はありません。
むしろそちらこそお気をつけてと伝えて下山再開。


--------------------------------------------------------------------------------

下山して家に帰った後に

お二人のブログを見て知ったのですが、
この後9時頃に先行していた登山者の滑落事故が発生して
大変なことになっていたようです。
亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

-----------------------------------
---------------------------------------------





まだ日の出前です…


















ようやく日が登ってきて
富士山に日の光が当たり始めました。


日が当り始めた富士山

クリックで写真を拡大できます。


































 
明るくなってきて富士山を観察してみると、
須走側は雪が厚めに積もっている感じで
雪崩れている場所さえありますが、
それに対して御殿場側は雪が溶けて
アイスバーン状になっている場所が多いようにも見えます。
御殿場側は雪の厚さが少なく見えるのは気のせい?
なんだろうこれ?どういうことだろう?
もしかしたら標高だけではなく、方角によっても
風向きや気温の違いによって
雪と雨の降る地域が異なっていたのかな?
この状況を見るとそんな気がしないでもありません。


ちなみにこの日の須走側ではまちゅらおさん他数名の方が
登頂されていたようです。
まちゅらおさんは厳しい状況でも登れてしまう相当な実力者なので、
一般的には参考にならないかもしれませんが、
他にも数名の方が登頂されていたようです。
須走側も七合目までは雪が硬かったようですが、
山頂付近は雪も柔らかくて滑落リスクもなかったようです。

果たして御殿場の山頂付近はどうだったのか気になりますが、
写真だけでは分からないのが残念です。




御殿場口五合目鳥居(7:21)
































7:21に御殿場口五合目まで下りてきました。
タクシーを呼んで御殿場駅まで向かいました。
まだ朝の早い時間だったので御殿場駅から
電車で富士市の実家に向かいました。



御殿場口五合目(0:27)→中継小屋(2:03)→新六合目小屋(3:57)→御殿場口五合目(7:21)

8 件のコメント:

  1. お疲れさまです
    18日は何とか長田尾根記念碑までは行きました
    山頂から降りてきた方に話によると
    大弛の雪質は硬くなかったそうです
    オイラは時間切れと登り返しで疲れて下山
    途中で山岳救助隊のお手伝いをして来ました
    山岳救助隊が来るまでに4 5時間掛かるんですね

    返信削除
    返信
    1. kenさん
      こんばんは。日曜日はお疲れ様でした。
      やはり上の方の大弛の雪質は硬くなかったのですね。
      標高2400m~3100m付近の雪が硬くなっていたのかもしれませんが、
      それにしても広範囲で硬くなっていた感じですね。
      前日はそこより上では雪が降ったという感じでしょうか。

      山岳救助隊のお手伝い大変お疲れ様でした。
      こういう事故が起きてしまうと気持ち的にきついですね。
      滑落された方のご冥福をお祈りします。

      削除
  2. こんばんは。
    なかなか引き返す決断は簡単には行きませんよね、さすがだと思います。
    日曜は自分も御殿場から登っていたんですがどこかですれ違ったんですかね?お会いできずに残念です。

    返信削除
    返信
    1. 棒さん
      こんばんは。日曜日は山岳救助隊のお手伝い大変お疲れ様でした。

      引き返す決断というのは、状況にもよりますが、難しいですよね。
      特に遠くから来てる人になると、本当に悩むと思います。
      ただ、自分の体で感じた危険が、その人とっての危険だと思うので、
      登り続けたらヤバイと感じた時点で引き返すべきだと思ってます。

      同じ日に登っていても、どのくらいのリスクを承知のうえで
      登るかという判断も、個人の経験や技術によっても異なると思います。
      自分が撤退した日に登頂した人がいたとしても、それはそれですよね。
      焦る必要はないので、条件の良さそうな時に、
      また挑戦すればいいと思ってます。

      自分が下山している時に、登ってくる人が意外と多かったので、
      ちょっと隅の方のルートを歩いてました。
      それですれ違ったのに気づかなかったのかもしれません。
      条件の良い日に、またお会いしましょう!

      削除
  3. やまちゃん2012/11/23 0:19

    viewta君、お疲れ様です。私は山の師匠に山は臆病であれと言われました。それが山と長く付き合うコツですね。登山中は色んな状況でも対応できる判断能力が必要です。今回の判断は流石ですね。恐らく私も同じことをしました。富士山で怖いのは氷です。半分から雪で楽に登れても帰りの氷で滑落した例は沢山あります。富士山の温度変化は夏場は吉田側は裏富士になりますから冷え込みますが、冬は裏富士は西風に飛ばされた雪が積もり日照時間が少ないので表面の雪が融けず意外と雪質は柔らかいですが御殿場側は富士山の角度で西風で中途半端な雪の残り方をします・・・おまけに吉田側より日照時間が長いので表面が融けてアイスバーンになりやすいんですよ。でも突風に関して言えばダントツ吉田側が多いですね。
    これから益々危険な山に変貌しますからお互い気をつけましょうね。

    返信削除
    返信
    1. やまちゃん
      「山は臆病であれ」やまちゃんに言われた言葉を肝に銘じてます。
      この日の状況は、やまちゃんくらい経験豊富な人であれば登れると思いました。
      ただし、この後に風が強く吹いてくる可能性もあったので、
      足元の氷と風のことを考えて総合的なリスク判断をした場合、
      慎重なやまちゃんなら引き返す判断をするだろうとも思いました。
      なにもこんな条件の悪い日に無理をする必要も無いですからね。

      貴重なアドバイスありがとうございます。
      吉田側と御殿場側にはそのような違いがあるのですね。
      確かに写真で見てもそんな感じの雪の付き方をしてますね。
      御殿場側は表面が融けてアイスバーンになりやすいのですか。
      アイスバーンは嫌なのでフカフカの雪がいいのですが、
      突風も嫌ですね~。富士山は本当に難しいですね。

      今年は特に厳しい冬の富士山になっているように感じてます。
      安全第一でいきたいと思います。お互いに気をつけましょう!

      削除
  4. もーまん2012/11/29 1:59

    ご無沙汰してます!
    mixiの、もーまんです。

    自分は16日に御殿場口から登りましたが、その後、雨が降ったようでコンディションが随分悪くなってたようですね・・・

    今、自分のマイミクさんの友人が20日に富士山の須走口(?)で行方不明になったままのようです。

    もし、何か情報があったらお願いします。

    返信削除
    返信
    1. もーまんさん
      ご無沙汰しております!16日に登られてたのですね!
      18日は前日の大雨によって、予想していた以上に
      コンディションが悪くなってました。
      雪質が硬すぎたのと、その後の強風の心配もあったので
      撤退しました。

      マイミクさんのご友人が行方不明なのですか?
      20日に須走口で行方不明というのは、
      最近のニュースで報道された方でしょうか…

      個人的に須走口は今の時期に行く交通手段がないのですが、
      登山中に何かを見つけたという情報等があればご連絡します。

      なんとか見つかるといいのですが…

      削除